滲みとサジタルコマフレア
α7で撮った夕景・夜景写真を見ていて、ふとNew FD 24mm/F1.4Lの描写に疑念をいだく。なんだかシャープさに欠けるのだ。
拡大して見ると、遠い点光源がボヤッとして滲んでいる感じがある。
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①-1 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD20-35mm f/3.5L, 2014/10/18, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
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②-1 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD24mm f/1.4L, 2014/10/18, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
上の写真の上①-1は比較用。New FD20-35mm/F3.5Lで撮ったもの。開放のF3.5、1/20、ISO3200。
②-1は、New FD 24mm/F1.4L、開放のF1.4、1/20、ISO3200。①-1を撮った10分後、光量が落ちてきたのでレンズをNew FD 24mm F1.4Lに換えて撮ったもの。どちらも撮って出しのJPEG。
下の4枚は、それぞれの鉄塔部分と、橋の照明が続いていくところの等倍切り出し画像。
①-2 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD20-35mm f/3.5L, 2014/10/18, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
②-2 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD24mm f/1.4L, 2014/10/18, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
①-3 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD20-35mm f/3.5L, 2014/10/18, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
②-3 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD24mm f/1.4L, 2014/10/18, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
New FD 24mm/F1.4Lのほうが点光源が大きいし、細かな描写も甘い。②-2の鉄塔右下の照明の回りには輪のようなものまで見える。
さらに別の日にもっと暗い環境で撮ったものが下。
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③-1 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD24mm f/1.4L, 2014/6/22, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
③-2 SONY Alpha a7 (Alpha 7), New FD24mm f/1.4L, 2014/6/22, Toda-shi, Saitama Prefecture, Japan
周辺部に行くにしたがって三角形の変形が強くなるのはサジタルコマ系のフレアのようだけど、それ以外にも滲んでいる。また、中央部でも点光源は、ぼんやりとした描写になっている。
うーむ、これでは夜景に使うのを躊躇してしまう(これを味として表現に使う手もあるだろうけど)。
しかたがないので、どの程度絞ればよいのかを調べてみる。
上のような写真を、New FD24mm f/1.4Lの絞りを変えながら何枚か撮り(上はF5.6での例)、中央部の街灯と、右上隅の鉄塔まわりを等倍で切り出したものが以下のセット。
撮影はα7。三脚使用、2秒セルフタイマー、ISO800固定、絞りを設定しシャッタースピードは自動、長秒間NR入、高感度NR標準、撮って出しのJPEG。
【1】 F1.4、街灯に滲んだ輪がかかり光芒は見えない。周辺減光が強い。サジタルコマフレアがはっきり分かる。元写真
【2】 F2.0、輪が小さくなり街灯の光芒が少し見えてくる。元写真
【3】 F2.8、街灯の輪はさらに小さくなってくる。サジタルコマフレアはかなり改善、元写真
【4】 F3.3(ここだけ半絞り)、全体的にかなり改善、元写真
【5】 F4.、街灯周囲の円は非常に小さくなる。元写真
【6】 F5.6、上のF4から大きな改善はないが、街灯周囲の円は完全に見えなくなる。元写真
自分としての結論は、「F4以上に絞れば、ほぼ問題ない。半絞り開いたF3.3もなんとか許容。F2.8はどうしても仕方ないときに使用。F2.8よりも開放側は、風景、特に夜景や極端にコントラストの高いときには使わないほうが良い。F2以下の開放側は、ボケやこのような独特の滲みを出したいときにだけ使う」、というものだ。つまり、このレンズの最大のウリであるF1.4の明るさは、点光源のある夜景や夜空には使えないのだ。
フィルムで使っていたときにも、「このレンズ、ちょっと描写が甘いな」と思っていたが、こんなふうにチェックをする気にはならなかった。
α7で使えるようになり、お手軽に条件を変えて撮れて、すぐ結果が見られるようになった。だからこそ分かったことで、今後の利用にも大いに役立つ情報ではあるのだけれど、、、憧れの広角大口径の高級レンズの(って言ったて35~40年前のオールドレンズだけど)、、、その欠点が分かってしまってちょっと悲しい。
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※補足:α7の2400万画素(6000×4000ピクセル)はフィルムの解像度を超えている可能性があり、そのような環境下で使われることを想定していなかった時代のレンズには酷なテストと言える。解像度だけを追うなら、新たに設計された現代のレンズを使うか、もっと無理のない設計の(開放F値の大きい)レンズを使うべきなのだろう。
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