アジア温泉
初台の新国立劇場中劇場にて。「パーマ屋スミレ」もここだったし、鄭義信は、最近ここが多いのかな。
新宿梁山泊、1994年の作「青き美しきアジア」(前作)をベースにした脚本。前作とは、いろいろと違うが、一番目立つのは、台詞の多くを韓国の役者が韓国語で喋り、字幕があること。
でも、それより大きな違いを感じたところがいくつか…。
・前作で島を守る家長にいた息子(少年)がいない。で、さらに、幕間に鄭義信と黒沼弘已が演じた抱腹絶倒のコントのなかで、その息子(少年)が長じて黒沼になったことが示されていた。しかし、今回、幕間(幕はなかったが…)の千葉哲也とちすんの演じるコンビ、温泉掘りの三人と、本筋との関係性がない。そこに、強い物足りなさを感じる。
・島に進出してきた兄弟の弟が死ぬ際、前作は確実な殺人、今回は殺人というより、ほとんど偶発的な事故。そして、死に追いやった家長(父)の悔い、罪の意識が、今回は極端に弱い。それにより、後の展開に対する印象も大きく変わった。
そんな違いがあったけど、とても良い作品だった。特に、ちすん(今回の芝居で一番光っていた)といつもは喋りがうるさい千葉のやりとりが良く、一幕の終わりのところは涙がこぼれる。だが、しかし、、、全体としては、遠い記憶になってしまった、「青き美しきアジア」は良かったな~。あの、鄭義信と黒沼弘已の幕間のやりとりは、ほんとうにもう一度観てみたい*。
今回の演劇、日韓の役者によって演じられていて、字幕も入る。日韓のあいだが比較的緊張しているこの時期に、この作品をどうとらえればよいのかは、私には分からない。まあ、でも、それはそれでいいや。
そう、劇場にはいくつかの即席屋台・露店が設定されていた。温泉と言うより、お祭りの屋台。圧搾空気鉄砲による射的もあって、100円でコーラ4本、飴一袋ゲットしました。この屋台についておられた方って劇場スタッフじゃないかな。本業以外にこんなところまで、ありがとうございます。
*補足:金守珍が新聞かどっかの雑誌で、「青き美しきアジア」後、梁山泊を離脱した鄭義信に対し、「サラリーマンがぼやいているような脚本書いていてはダメなんですよ」(サラリーマンがぼやいている=鄭義信と黒沼弘已の幕間のやりとり部分)と言っているのを読んで、(直接の利害なんかないのに)激怒した覚えがある。あのあたりから、新宿梁山泊観なくなった。
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