映画:許されざる者/J・エドガー
新文芸坐にてクリント・イーストウッド監督2本立てを観る。
許されざる者 ★★★★★
すごい映画だと思う。特にシナリオと構成。
死、人を殺すことへのためらい、恐怖、後悔が主人公たちに満ちている。ただ一人、ジーン・ハックマン演じる保安官以外は…。殺される牧童たちのうちの一人は、切り裂きには関わっていないし、お詫びに娼婦たちに馬を渡そうとする。善き人として描かれる彼が、巻き添え的な感じで賞金目当てに殺される理不尽さ。
顔をメタメタに切られ傷の残る娼婦とマーニーとの心のやりとり、しかしマーニーは街を去るとき彼女を連れて行かないという、観る者に寂しさを感じさせる展開。そのほか、いろいろなところが響いてくる、ある種完璧なできばえだった。また、入りと終わりに使う、遠くから見た農家の情景とナレーションも効果的。
演技陣では、昔からファンだったジーン・ハックマンが好演。
J・エドガー ★★★☆☆
丹念に描いているようで、観終わってみると表層的な感じしか残らないという不思議な映画。長い時間、政治、社会の変化を2時間ちょっとに詰め込むのは難しい。でも、政治的な立場、フーバーの評価の部分でもあいまいで、宙ぶらりんな感じが残る。ちょっと残念な出来映え。
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