« 映画:わが青春に悔なし | トップページ | チーム練にご挨拶 »

2010/10/03

映画:ユリシーズの瞳/霧の中の風景

映画:ユリシーズの瞳/霧の中の風景

ユリシーズの瞳 ★★★★☆
 主人公の映画監督の現在と過去、そして取材対象であるマナキス兄弟の体験が交錯する構成。特に服装や役柄を変えるわけではなく、一つのシーンのなかで変化する場合もある。その中でどの時代の誰の体験なのかが分からないシーンもある。
 強い印象を残す35年前に去った故郷の町への再訪、恋人との別離、解体され運ばれるレーニン像、戦乱のサラエボ、数々の場所と時代をさまよう。それぞれの時代の痛み、そして現在の痛みを痛烈に描く。重々しい雰囲気と展開だ。世に楽しいこと、明るいことなどないような気がしてくる。その中で生き生きと描かれるのはレヴィの娘ぐらいだ。しかしそれもエンディング直前の何も見えない白い霧の惨劇に続く。彼の慟哭が観る者の心を突き刺す。
 観ていて決して楽しくない、どちらかと言えば辛い映画ではある。しかし、万人の持つ過去、故郷への思い、現代の大問題への対峙の仕方など、すべての面で文句をつけられない。

霧の中の風景 ★★★★☆
 ネグレストを暗示させるような母子家庭。子どもたちは私生児だが、父はドイツに出稼ぎに行っていると嘘を教えられている。映画の早い段階で、観る者と子どもたちにそれを明かすが、子どもたちは旅を続ける。時として、会った人々の好意に支えられ、時として暴力犯罪の被害者となりながら。
 だんだんと、子どもたちの行き先と、時々モノローグ的に語られる父への手紙の宛先がないことに気付く。これはこの子たちだけの話ではない。他の多くの子にも当てはまる話だし、多くの大人の境遇に置き換えることができる。そう言う意味で普遍性を感じる。
 この映画も直視するのが辛い映画だ。しかし、決して悪い点をつけることはできない。

【GPS情報】
http://walk.eznavi.jp/map/?datum=0&unit=1&lat=%2b35.71110&lon=%2b139.70892&fm=0

|

« 映画:わが青春に悔なし | トップページ | チーム練にご挨拶 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画:ユリシーズの瞳/霧の中の風景:

« 映画:わが青春に悔なし | トップページ | チーム練にご挨拶 »