「露出計が見えない!」 F-1使いならば、暗いところでの撮影で誰でも経験する。
Canon F-1は低照度での撮影に弱い。まずファインダーの画面右の露出計が暗くて読めなくなる※注。これを解決するキッチュな小物が「ファインダーイルミネーターF」だ。
▲ファインダーイルミネーターF。オレンジ色に光っているところに麦球、上の丸い部分に電池が入っている。
マニュアルカメラであるCanon F-1は、底に収納する電池で露出計測を行っている。ただし電池でやっているのは露出だけ。光量を計り、ファインダー右側にある露出計の指針を動かすのみ。シャッター速度や絞りを自動的に変えるAE機能どころか、露出計の表示も天窓から入ってくる光。LEDなどを使って表示しているわけではない(その分、電池の持ちは良い)。
▲Canon F-1のファインダー。右に見える縦の白い部分が露出計(Canon PowerShot G10で撮った写真を加工)。
▲写真中央の白く細長い部分が露出計用の明かり窓(天窓)。
このため暗くなるとファインダー右の露出計表示が読めなくなる。日暮れの暗い風景を撮ると、天窓の向いている天頂方向はもう真っ暗。撮る対象物には光が残っていてピントは合うのに露出計が真っ黒で見えない。これは暗い会場でステージを撮るときも同様。
ファインダーイルミネーターFは、電池で麦球(麦粒くらい小さな電球)の明かりを点ける。この明かりで本体上部の明かり窓を照らし、露出計を見えるようにする。使ってみると効果絶大。見えなかった露出計がはっきり見える。
▲ファインダーイルミネーターFを装着したところ。ランプ(麦球)が天窓を照らす。
露出計を外部から強制的に照らす、それも電池と電球で、、、というのは、非常にシンプルで原始的な仕組みだ。LEDとか液晶表示とかが普及していなかった時代の苦肉の策だろう。持てる技術と道具でトラブルを解決するためのアクセサリーを揃えた当時のキヤノンは立派だ。
しかしちょっと違う考え方もある。露出計をファインダー画面の脇に組み込んだOlympus OMシリーズでは、暗くて露出計が見えない問題は起きない(起きにくい?)。F-1の設計面での弱点・工夫不足もあると思う。
そうは言っても、今さら設計を変えた改良品が出てくるわけでもない。今後も便利に使い、重宝していくと思う。
★補足:入手して気付いたトリビアネタであるが、ファインダーイルミネーターFの電池蓋は、Canon F-1本体底の電池蓋と共通だった。使う電池(当時は水銀電池)は同じだが、蓋まで一緒とは思わなかった。ちなみに、1.35Vの水銀電池は手に入らないことから、1.5Vのアルカリ電池を使っている。仕様より10%電圧は高いけれど、問題なく使えている(寿命が短くなるかも知れないけれど)。
※注:他にも、(1)低照度での露出精度が今一つ低い(気がすること)、(2)AEカメラなどと違って1秒以上の長時間露出に対応していないこと、などの弱点もある。このあたりは、ブースターTファインダー(←持っていませんが)を使うか、AEカメラであるCanon A-1を使って補うしかない。
(※撮影はCanon PowerShot G10)
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