映画:情事の履歴書/性輪廻 死にたい女
情事の履歴書 ★★★★☆
1965年の作。若松プロダクション名義ではなかったし、足立正生の脚本でもなかった。それらの定番のかたちができる前の作品か。
44年後の今観るとピンク映画には思えない普通の作品。確かに男女の絡みは多めだけれど、乳首もほとんど映らない。特集のチラシにもあったけれど、内容的には、男と社会に翻弄され性を武器にしぶとく生きて復讐する女の自叙伝。「しとやかな獣」で若尾文子が演じ役と似たキャラクター設定だし、溝口の映画にも通じるところがある。ただ、終わってみての爽快感、突破感に欠けるところがちょっと残念。映像、構成ともそつない。主演の千草みどりが好演。
性輪廻 死にたい女
当初上映予定だった「日本暴行暗黒史 異常者の血」のフィルムの状態が悪く、この作品に差し替えとなる。
1970年、若松孝二監督、足立正生脚本作品。三島由紀夫の割腹自殺をモチーフにした作品。先々週のトークショーで触れられていた作品がこれなのだと思う。偶然にも観ることができてラッキー。
ある種の諦観、仲間と一緒に死に切れなかった想い、が作品全体を満たしている。「憂国」の設定を借りているところもあるのだろう。そして最後はそれらをあざ笑うような終わり方。40年近く経って観ると、三島側にも若松側にも共感を感じられない。頭でっかちな感覚だけが残る。ただ、話の進め方、映像、演技などは標準以上で退屈はしない。でも、62分という非常に短い作品というのもあったと思う。
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