映画:TOMMOROW 明日/美しい夏キリシマ
新文芸坐にて黒木和雄2本立て。
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TOMMOROW 明日 ★★★★☆
1945年8月8日、原爆投下前日の長崎。結婚式を挙げる夫婦、その姉からは子供が生まれようとしている。そのような彼らの日常を描く。徴用された朝鮮人、悲惨な待遇の米軍捕虜の姿も描くが、戦時下の普通の人々の喜び、思いやり、悩みなどを丹念に描く。結婚式、出産などはあれど普通の一日だ。それが長崎への原爆投下の前日であること、登場人物たちが翌日巻き込まれる惨状さえなければ…。とても上手いシナリオ(原作?)、演出だと思う。ただ、描かれた人々があまりにも無垢で美化され過ぎたところに違和感を少し感じてしまう。
出演陣は総じて好演。皆平均以上だが、強い印象を残した人は少ない。仙道敦子と原田芳雄あたりか。描かれた登場人物が多く、それぞれの出演シーン、エピソードが少なめなこともあるかも知れない。
美しい夏キリシマ ★★★★★
米軍の本土上陸に備える1945年8月の宮崎県霧島。肺浸潤で勤労動員に行けない少年の心の動きとと、彼を取り巻く人びとの模様を描く。死に瀕した友人を救えなかったという負い目、今見ればおかしいと思う戦時中の規律、理不尽な戦争と天皇制への疑問などが、意図的に、一部不自然に挿入される。でも、そういう目的の映画なのだと思う。このようなことがすべて叙情的、かつ耽美的と言えるぐらいの美しさの中で描かれる。それも大きな違和感もなく…。
主演の柄本佑、原田芳雄、小田エリカ、石田えり、出演シーンは少ないが寺島進が印象に残る。「TOMMOROW 明日」とは違って出演陣それぞれのキャラクターが生きている。その中でも柄本佑。名前から柄本明の息子で「俺たちに明日はないっス」の主演と同一人物かと思ったら、前者は当たり、後者は外れ。柄本時生の実兄だったようだ。驚いたことに、「檸檬のころ」の野球部エースの佐々木、「グミ・チョコレート・パイン」の山之上を演じていた俳優だった。びっくり。美形ではないけれど力がある。順調にいけば大きな存在になっていくと思う。
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