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2009/01/15

今日は安定、明日は? -2009年正月ネパール旅行01-

 ネパールに来るのは6回目。前回は5年前の正月。マオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)と政府(王政側)との対立が激しくなっていた時期で、戒厳令に近い状態だった。夜、空港からタメルに向かうときは、わずか10km弱なのにチェックポイントが2つあり、緊張した面持ちの兵士が車の中を覗き込んだ。でも海外旅行者と分かると車の中をあらためもせず、すぐ通過はさせてくれたが…。ポカラの繁華街にも土嚢を積み上げたトーチカ(?)があり、空港にも小銃を持った兵士がたくさんいた。
 その時、討伐の対象だったマオイストは現在政権を担い、長年続いていた王制は廃止された。ゲリラが政権を取った、つまり革命があったのだ。その間、内乱まではいかないが大きな混乱と多くの死があったと聞く。治安も悪化し、気軽に旅行できる状況ではなくなった。それはまだ一部では続いているが、カトマンズやポカラなどの主要な観光地に限って言えばかなり安全になったようだ。
 小銃で武装した兵士は目立たなくなり、空港からのチェックポイントもない。なにより空気が違う。ピリピリした空気、緊張感が薄くなった。それは旅行者の気分に反映する。タクシー運転手やホテルの従業員から聞いても、「今は本当に安全になった」、「2年前はどこもかしこも危険だった」、「マオイストが政権をとって観光客が戻って来て本当に良かった」と嬉しそうに答えてくれた。
 しかしここネパールの空の下)の情報によれば政権を取ったマオイストは、暴力を使って強引に外貨の稼ぎ頭であるカジノと大ホテルを押さえ、マスコミも押さえようとしている。権力を握り、お金を支配し、メディアを握り、批判勢力を押さえられるようになったとしたら、政治は腐るのが常である。
 ネパールの政治が本当にこれから良い方向に向かうのか、それとも今までと同様、適度に腐った非効率なかたちになるのか、はたまた一党独裁の恐怖政治にいくのか予断を許さない。なんと言ってもマオイスト=毛沢東主義=大躍進、文化大革命、ポルポトの大虐殺というつながりもあるのだから。でもとにかく良い方向に向かってほしい。6回も訪れるくらい大好きな土地、国の明るい将来を願ってやまない。
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▲ポカラのフェスティバル会場でステージでの演奏を見つめる武装兵士。今回はこれ以外まったく見かけなかったし、このときも緊張感は薄かった(PowerShot G10、2009/1/1)。

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