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2009/01/31

映画:12人の怒れる男/宮廷画家ゴヤは見た

映画:12人の怒れる男/宮廷画家ゴヤは見た
新文芸坐で夕方から2本立て。

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12人の怒れる男 ★★★★☆
 アメリカ映画「十二人の怒れる男」のロシア版リメイク。こちらは「12人の怒れる男」と12がアラビア数字表記。
 「十二人~」は学生のころテレビでしか観ていないが強い印象が残っているし、話の大筋は覚えている。「12人~」は、この単純なロシア版リメイクかと思いきや、かなり違った。陪審員たちの性格だけでなく、生い立ち、社会観が語られ、そこから今のロシアの姿が浮き上がってくる。貧富の差、強い差別感、安定しない社会、まともに工事されていない体育館の配管、体育館で評議をしなくてはいけない状況、、、。そして最後の15分の予想もしない展開。
 「十二人~」はアメリカという国、司法制度に対する賛歌だった。この映画には、ロシアという国に対する憂慮と強いエールを感じる。安易でもなく、絵物語のような非現実的でもなく、適度に救いのある展開。歴史的な傑作を、時代と場所を変えてこのような力と現代性のある映画に仕上げたことに頭が下がる。

宮廷画家ゴヤは見た ★★★★☆
 時代に翻弄される美しき少女、時代に関わり翻弄する側になる聖職者、彼らに関わる画家ゴヤの姿を描く。
 まったく期待せず観たけれど十二分堪能した。さすがミロス・フォアマン。でも、なんでこんなに寡作なんだろう。
 楽しい話ではないし、美しきものが壊されていくのを見るのは辛い。そう感じるぐらい引き込まれた。でもこのようなことは(この映画はフィクションにしろ)実際にあったことだろうし、観るものに媚びていないことにも納得できる。しかし興行的には損だろうな。
 演技陣では、ハビエル・バルデムとナタリー・ポートマンが出色。映像的にもシナリオ的もそつなく、娯楽(というストーリーではないかも)としても芸術としても一級。でも観終わった後、しんしんと響く余韻まではいかない。

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