映画:ノーカントリー
久しぶりに文芸坐に。
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★★★★☆
麻薬取引の200万ドルをふとした偶然で手に入れた男。異常な殺し屋につけ狙われ、保安官も彼を追っている。スリルとサスペンス、バイオレンスの固まりのオーソドックスなストーリーから、突然ちょっと変わった展開に話は流れていく。
美しい風景の連続とモノローグ、ハリウッド映画の王道をゆくような魅力的な始まり方。そしていきなり緊張感の走る展開へとスピーディに流れていく。緊張感の連続の中に、時折年老いた保安官のゆったりとしたエピソードを挟み込み、息抜きをしているところも上手い。そのままストレートなまま展開していくかと思ったら、さにあらず。終盤は意外性とミステリアスな流れになり、いろいろなところが分からないまま終わる。でも、不快感はないし印象的。これって今年度のアカデミー作品賞だよね。オーソドックスな展開を無視したこういう映画でも作品賞を取れるということに、ちょっと驚く。
出演陣はみな好演。その中でも異常な殺し屋アントン・シガーを演じたハビエル・バルデムが鮮烈な印象を残す。シナリオの巧さと相まって彼の怖さが引き立つ。小物の使い方も上手い。電話の請求書や発信器、シャツを通行人から買うところ、入院患者の服装で国境を越えて店に入るところなども見事。シナリオ、演出の勝利と思うところが多い作品だった。
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