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2008/08/31

宇宙旅行はエレベーターで

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)は、地表(海面)から静止軌道、またその先までをケーブルで結び、エレベーターで宇宙に行くという技術だ。1979年(1980年邦訳)のアーサー・C・クラークの『楽園の泉』"The Fountains of Paradise"でSF好きには知れ渡った技術だ。
この「宇宙旅行はエレベーターで」では、宇宙エレベーターが現時点でほぼ建設可能であることを示し、それを成し遂げるためのいろいろな技術、設置場所、政治的な課題などを列挙した上で、2025年前後までに実現をしようと呼びかけている。これが実現すれば、運行費用はロケットのわずか2%になると著者陣は言う。
とにかく一番のハードルであったケーブルの素材が、1990年代に発見されたカーボンナノチューブによって可能になった(と考えられている)ことが大きい。そのカーボンナノチューブの発見者が日本人ということは、この本を読むまで知らなかった。

SFを読んでいたのは三十代半ばまでで、アーサー・C・クラーク、アイザック・アシモフあたりが現役を退いてからは、この手の読み物もご無沙汰だった。久しぶりに近未来の(SF的な)技術本を読んでみると、かなりワクワクした。
フロンティアのなくなった現代にとって、これは新たなフロンティア=開拓の地と精神を生み出すものとして期待できる。ただ、そのためには政治的に解決しなくてはいけない問題も数多くある。
いずれにしろ、まずはカーボンナノチューブで10万キロメートルにも及ぶ均質で強固なケーブルを作り出すことが、現時点での最大の課題だ。それでも私が生きているうちに、宇宙エレベーターが実現する可能性は五分五分ぐらいにはありそうな気がしてきた。それが平和的な存在と利用に徹したものになってほしいと切に願う。

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