« 今中大介氏についていくつか | トップページ | 美吟亭 »

2008/07/26

映画:女の都/ニュー・シネマ・パラダイス

映画:女の都/ニュー・シヌマ・パラダイス
フェリーニの「女の都」を観に来る。「ニュー・シネマ・パラダイス」は初公開時に観ており、おまけの感覚。

---------------
女の都 ★★☆☆☆
 フェリーニらしい祭り・カーニバルや、81/2を感じさせる空想の連続を感じさせるところはあるが、全体の出来はいまひとつ。フェリーニ自身の夢と空想を超えた普遍性を感じさせるところがない。残念。

ニュー・シネマ・パラダイス ★★★★☆
 娯楽作品としても、ある時代の叙事詩としても優れ、高い完成度をもつ。ただ、成長し中年になったトトが現実の中では幸福そうでなく、過去をノスタルジックに懐かしむ色が強すぎるのに抵抗感がある。

 フィリップ・ノワレはこの映画以外に、テレビドラマの「にんじん」、映画「ぐうたらバンザイ!」がとても印象に残る俳優だった。確か数年前に亡くなったというのを朝のBSニュースで見た記憶がある。でもこの人、フランスの俳優だよね。

---------------
 前にこの映画を見たのは初公開時(1989年)だったので20年近く昔になる。私は三十歳になったぐらい。主人公の青年期は超えていたが、五十歳近い中年期の主人公からは遠い感じだった。でも今は五十近くなり、中年期の主人公と同じぐらいになってしまった。
 で、20年を経て見方が変わったかというとそうでもない。全体をとおしてあまりにもノスタルジック過ぎるし、主人公の今が不幸そうに見えるところに違和感を感じる。「過ぎ去ってしまい、二度と手に入らない失われたものは限りなく美しい」のが常であるが、それだけでいいのかとシナリオに対して異議を唱えたくなる。だから素晴らしく印象に残る良い作品だけど満点は付けられない。
 以前テレビで完全版かディレクターズカット版をちらりと観たことがある。そこにはトトの初体験やエレナとの再会などがあったようだ。でもそういうのがないこちらのほうが良いような気もする。

 私自身にとっての「ニュー・シネマ・パラダイス」的な体験は、田舎の中学校時代の「映画鑑賞会」だ。
 中学入学と同時に、相模原市から島根県浜田市に引っ越した。田舎の中学校の規則は厳しく、長髪禁止で襟足は指から髪が出ない長さの髪型から、町外に出るときの学生服着用までいろいろとうるさい規則があった。中学生は映画館に行くのも禁止。代わりに3ヶ月か半年に1回、その中学校の生徒だけを集めて、学校が選んだ作品を安い入場料で観ることができた。
 他の興行のじゃまにならないように日曜朝8時とかに映画館に集合。たしか100円とか200円で2本立てを観ることができた。ただし、服装は学生服だし、選ばれた映画は当然、中学校の先生の目にかなったものだったと思う。でも、「燃えよドラゴン」(ブルース・リー万歳!)、「ポセイドン・アドベンチャー」を観て鮮烈な印象を植え付けられた。今も、ブルース・リー、ジーン・ハックマンのファンなのは最初に観たからだ。他には「シャラコ」、「海軍特別年少兵」などを観た記憶がある。映画館は同じ中学校の生徒で満員。周りは知り合いがたくさん。若気の至りで、ちょっと盛り上がるシーンは皆で騒ぐ。「シャラコ」でオッパイが出てきたときには(と言っても斜め後方からで乳首は見えなかった)、男子生徒は大騒ぎ。エッチなシーンがほとんどないという検閲を受けた作品、そして、上映に臨む観客の連帯と熱狂を、「ニュー・シネマ・パラダイス」を観ていて思い出した。映画館には、密かにかつ熱烈に憧れていた同級生も来ていた。その娘の姿を見かけただけでどきどきしていた。

 中学校に進学した当時、映画なんかにはまったく興味がなかった。小学校の時に観た映画は東宝の怪獣映画だけ。そんな私でも、同級生が日曜朝に集まって皆で映画館に行くっていう一大イベントなら、「せっかくだから、参加しないと損」という感じになる。で、結局、この体験によって映画の魅力に、、、魔力、麻薬といえるようなものに囚われてしまった。太平洋戦争中、タバコが配給制になったことで、「せっかくの配給品だから」というような理由で、多数の非喫煙者が喫煙者になったと聞いたことがある。私にとっての映画も似たようなものだった。でも、映画関連の仕事には就かなかったし、今観ているのも年間100本いかない。結局、中途半端で来てはいるのだけど、映画、映画館に対する思い入れと憧れだけは一生続くだろう。

※その浜田市には現在、映画館は1館もないらしい(「天然、コケッコー」の完成試写を報道したNHKニュースで言っていた)。私の中学のころは、通常館2館、ポルノ専門館1館、計3館はあったと思う。映画が大衆娯楽の中での地位を下げ、地方の映画館が潰れているのはイタリアも日本も同じなのだろう。

[GPS情報URL]
http://walk.eznavi.jp/map/?datum=0&unit=0&lat=%2b35.39.32.75&lon=%2b139.41.45.10&fm=0

|

« 今中大介氏についていくつか | トップページ | 美吟亭 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画:女の都/ニュー・シネマ・パラダイス:

« 今中大介氏についていくつか | トップページ | 美吟亭 »