Canon F-1 -(4) 損なのか得なのか-
Canon F-1, FD55mm F1.2 S.S.C. (撮影:CASIO EXILIM EX-Z4)
Canon F-1前期型は中古店では5万円弱だけど、オークションなどでは3万円せずに手に入れることができる。これはハイエンドアマチュア向けデジタル一眼レフキヤノンEOS 5Dの実勢価格の約8分の1ぐらいだ。レンズも破格に安い。デジカメにほとんど流用の利かないキヤノンのFDレンズ群は、当時の定価の4分の1程度ではないかな。コレクション志向の物欲ユーザーには堪えられない状況だ。広角から望遠、(入手は難しいけれど)その他オプションを揃えたシステムでも、4分の1から5分の1の値段で揃うのだから。
しかし良いことばかりではない。フィルムは、カラーリバーサルで1本1000円弱、モノクロで500円弱。カラーリバーサルの現像とCD-R書き込みで1本900円弱かかる。デジカメの場合、最初にメモリを購入してしまえば済む。メモリの値段もどんどん安くなっている。購入費を除いたランニングコストはデジカメのほうが少ないだろう。
ただ、一つのカメラの寿命全体の総コストで考えると微妙である。EOS 5Dのような一眼レフデジカメを発売当初30万円で購入し旬で使えるのは、5年から長くても10年だろう。その間にどれぐらいの枚数を撮るのか。その撮った1枚あたりのコストで計算すると、デジカメの場合、かなりの枚数撮らなくては元が取れないはずだ。損得の分岐点は、揃えたシステムの値段にもよるけれど、30万円で標準レンズ付きのデジカメと4万円で標準レンズ込みの中古一眼レフを仮に比較した場合、5000枚近くは撮らないとデジカメ側は得にならないはずだ。
(30万円-4万円)/(1000円+900円)×36枚=4926枚
この比較にはいろいろと穴と嘘がある。また、デジカメにはデジカメにしか撮れない写真や撮ってすぐ確認でき使用できる便利さがあり、銀塩には銀塩にしか出せない味もある。そういう点では、適材適所、好きなものを好きなときに使えば良いのだ。「銀塩は損ではない」と思いたいのは、私の場合、自己弁護以外のなにものでもない。
ただ、はっきりしていることもある。フィルムの製造中止と値上げ、現像期間が長くなるなど、コストも手間もどんどんかかるようになっていることだ。このような周辺からの圧力を考えると、銀塩カメラである私のCanon F-1の将来も明るくはない。ああ、どこかF-1用のデジタルバックを出してくれないものか。
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