「移民1000万人受け入れ」絶対反対
自民党の一部が、少子化の影響で減る労働人口を補うため、今後50年間で1000万人の移民を受け入れるという提言を出している。これについては、絶対反対である。フランスでさえ移民問題に端を発する貧困層などの問題に苦しんでいる。成熟していない日本社会がそのような状況を受け入れることはより困難だし、長い目で見て大きなトラブルの原因になると思う。
箇条書きとなるが、今の段階でざっと思いつく、いくつかの理由、問題点などを列挙しておく。
●日本国内的にみると
・移民は、安い給料の下層階級としてしか扱われない。
・文化的、社会的にも差別される。
・給与の安さ、差別などと相まって、移民による犯罪発生が多発する。移民民族集団別のギャング団などが結成される。
・ギャング団のような犯罪集団でないかたちでも、移民集団内の強力な互助組織、政治組織、宗教組織などが結成され、国家内の別国家的な動きを始める。
・12000万人に対する1000万人は約8%となる。100人のうち8人が移民となる。人口増加率を考えるとこの比率はその後急上昇すると思う。アメリカにおけるヒスパニック系人口比率の上昇を見よ。
・旧来の日本文化、社会の安定性が破壊・変質する。
・移民による直接的な恩恵は企業が主に受ける。今回の自民党の提言の裏にも経済界の意向が働いている気がする。しかし、それによるリスク、トラブルは社会全体で負うことになる。
・本来するべきことは移民1000万人を入れることではなく、出生率の向上。50年間に1000万人というが、早急に出生率向上のための徹底的な対策をとり、出生率(合計特殊出生率?)を2.0近くにすれば20年後には労働人口は移民を入れずとも上昇する。そのような地道な努力を放棄したまったく安易な発想の政策である。
・それがだめでも、国内の無策は国内で処理するべきである。移民集団を入れての新たな問題をの発生させてまで解決するべきことではない。人口が減れば、炭酸ガス排出も環境負荷も人口に応じて減る。その人口に見合った社会を作るべき。
●世界的にみると
・一見他国の余剰人員の受け入れという良いことをしているように思えるが違う。
・当然欲しいのは優良な人材だ。熟練労働者(医療、介護、建設)、IT技術者などが優先されるだろうが、それは完成した技術者を元の国から引き抜くことになる。元の国の空洞化につながる(フィリピンの医療技術者の例)。
・基本は労働者が不足しているから補充しようという発想でしかない。人口爆発を緩和し、多くの他国の人々の幸せ、平和を本当に考えるのならば、他国経済・政治の安定、現地の雇用の拡大、国連の人口関係活動への協力などに積極的に関与すべき。
ただ、もし移民を受け入れざるを得なくなったとしても、下記のことに配慮するべきであると思う。
●どうしても受け入れざるを得ない場合の条件
・絶対人数を大幅(例えば10分の1の100万人以下)に減らす。
・難民(政治難民、経済難民)ならば受け入れる。
・待遇的にも社会的・文化的にも、見えるもの、見えないものを含め絶対に差別しない体制を作る(非常に困難だろうが)。
・移民してくる人々については、一つの国民、民族に偏らないようにする。
・移民元の国の社会体制、雇用体制を破壊しない。
・日本の社会構造、雇用体制と似たようなかたちで受け入れる。就労者の職種、性別、年齢層、すべてが突出したかたちにならないようにする。
----------以下、MSN産経ニュースより引用----------
MSN産経ニュース http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/154615/
06/20 01:37更新
自民党国家戦略本部(本部長・福田康夫首相)の「日本型移民国家への道プロジェクトチーム」(木村義雄座長)は19日、日本の総人口の約1割に当たる1000万人の移民受け入れを目指す政策提言をまとめた。20日にも首相に提出する。経済成長重視の「上げ潮」派のリーダーである中川秀直元幹事長が旗振り役を務め、「中川総裁誕生に向けたマニフェスト(政権公約)だ」(自民中堅)との見方もある。一方、移民の大量受け入れに保守派は難色を示しており、党内の軋轢(あつれき)がますます広がる可能性もある。(加納宏幸)
「外国人が暮らしやすい社会は日本人にも暮らしやすい社会だ。多文化共生に向けたメッセージを発し、国民運動を進めていく必要がある」
中川氏は19日のPTで提言の実現に向け、強い意欲を示した。
提言では、50年後の日本の人口が9000万人を下回るとの人口推計をもとに移民受け入れによる活性化を図る「移民立国」への転換の必要性を強調。移民政策の基本方針を定めた「移民基本法」や「民族差別禁止法」の制定、「移民庁」創設などを盛り込んだ。
「移民立国」は中川氏の持論で自らが会長を務める「外国人材交流推進議員連盟」で構想を温めてきた。秋の臨時国会に一部法案の提出を目指す考えだ。
国家戦略本部は平成13年、小泉純一郎首相(当時)が国家の中長期ビジョン策定を目指して総裁直属機関として設置。保岡興治元法相が初代事務総長を務め、憲法改正などをテーマに提言をまとめてきた。
一時活動が低迷していたが、中川氏が昨年8月に幹事長を辞任すると大幅にテコ入れし、現在は下部機関に24のPTを抱える大組織となった。霞が関の意向を受けやすい政務調査会とは違い、衆参議員や民間・学識経験者が企画立案を担うことが特徴で、公務員制度改革では推進役となり党内の慎重派を牽制(けんせい)。「衆院200、参院50への議員定数削減」など大胆な提言を次々に打ち出してきた。
背景には、福田政権となり、党政務調査会が与謝野馨前官房長官や園田博之政調会長代理ら「財政再建派」の牙城となったことが大きい。これに危機感を抱いた中川氏らが、国家戦略本部が総裁直属機関であることに目を付け、「第2政務調査会」の役割を担わせたというわけだ。
これに対し、財政再建派や保守派は神経をとがらせている。特に移民政策は国家の根幹にかかわるテーマだけに「経済効果だけを重視して推し進めるべきでない」(閣僚経験者)との声も出始めており、秋の臨時国会で法制化の動きが始まれば、激しい論争になる可能性が高い。
------------------------------------------
MSN産経ニュース http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/152658/
06/12 20:31更新
自民党有志の「外国人材交流推進議員連盟」(会長・中川秀直元幹事長)は12日の総会で、人口減少問題を解決するため、50年間で「総人口の10%程度」(約1000万人)の移民受け入れを目指すことなどを盛り込んだ提言をまとめた。自民党は13日、国家戦略本部に「日本型移民国家への道プロジェクトチーム」(木村義雄座長)を設置し、提言をたたき台に党内論議をスタートさせる。
提言は、50年後の日本の人口が9000万人を下回るとの推計を挙げ「危機を救う治療法は海外からの移民以外にない。移民の受け入れで日本の活性化を図る移民立国への転換が必要だ」と断じ、人口の10%を移民が占める移民国家への転換を求めている。
具体的な政策としては、法務省、厚生労働省などに分かれている外国人政策を一元化するため「移民庁」設置と専任大臣の任命▽基本方針を定めた「移民基本法」や人種差別撤廃条約に基づく「民族差別禁止法」の制定▽外国人看護師・介護福祉士30万人育成プラン▽永住外国人の法的地位を安定させるため永住許可要件の大幅な緩和-などを盛り込んだ。
| 固定リンク
« Unconditionally Guaranteed/Captain Beefheart and the Magic Band | トップページ | Doc at the Radar Station/Captain Beefheart and the Magic Band »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
1000万人の移民を受け入れるまでに移民先としての魅力の無い国になっているような気がします。
これからの社会では資源を持つ国(利権を持つ国?)のポジションが上がり、日本のような資源を持たない技術立国の国はポジションが下がっていくと思います。
人材も資源ですがゆとり教育なんてやってるようじゃね。
投稿: こたに | 2008/06/24 10:31
有能な移民を受け入れることのできない魅力のない国になる、というのは同感。と、同時に人口爆発、政情不安などで日本よりさらに安定度のない国々も増えるので、魅力はなくとも人は入ってくるのでは、とも思っています。
日本の人材面は、、、勤勉性・忠誠心が高くクオリティの高い労働力の国だったのは、もう過去の話。今は、不勤勉が美徳という風潮ですからね(なんて言うのはオヤジになった私の小言)。
投稿: ひゅ~ず | 2008/06/24 12:12
そもそもの「人口が減ってはまずい」という前提が間違っているんじゃないかと思います。人口が減ったら減ったなりにぼちぼちやっていたらいいと思います。
投稿: KAZZ | 2008/06/24 12:33
高齢者ばかりになったら食って行けないから移民に食わせてもらおうって言うのは虫が良すぎますね。
爺さんは養わないといけないという考えを逆にして爺さんに食わしてもらうって言うのはどうかな。
高齢者は全て農林水産業に従事するっていうのはどない?
現状日本の農業ってそんな感じだし…
投稿: こたに | 2008/06/24 13:01
「人口が減ってはまずい」という前提で、自民党がこのような提言を始めた背景には、外国人研修生などで潤っている企業(中小企業中心?)などの意向が働いている気がしてなりません。この手の提案は、世論の猛反対受けるし、保守系政党の自民党があえて出すというのはよっぽどことだと思います。
投稿: ひゅ~ず | 2008/06/24 21:48
>こたやん
ここの答えは持っていません。農業就労者の平均年齢はすでにかなり高いはずですし、国の政策によって食用自給率は確か4割割っているし、高年齢で急に農業始めてもうまくいかないだろうし…。それにしても食料自給率と今後の世界の食料資源の逼迫を考えると、本当に魅力のない国になりそう。
投稿: ひゅ~ず | 2008/06/24 21:51
働けるうちは働くっていう社会にしていった方がいいように思います。60歳定年なんてもったいない。
とはいいながら、はよ定年になって、ぼちぼち日本中を自転車で走りたいという願望もありますが。
投稿: KAZZ | 2008/06/25 12:35
> KAZZさん
全くもって同感でございます。特に後半「はよ定年になって」以降。
投稿: ひゅ~ず | 2008/06/25 14:06