映画:14歳
今日も文芸坐に。ただし諸般事情で最後の1本のみ。
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★★★★☆
登場人物すべてが痛々しい。ストレスのなか、相互に傷つけ合い苦しんでいる。それは14歳の中二でも、10年後の24歳でも同じである。今の日本すべてがそのようなムードにあり、その世相を反映した内容とも思えてしまう。
シナリオ、演技、映像、すべて優れたレベルにある。解決の見えない突破感のない終わり方ではあるが、安易な出口のないテーマを扱っているのだからしかたない。その中で、杉野がピアノを教えている雨宮に対して初めて真剣に向き合うこと、病欠だった中学教師深津が再び教壇に立とうとするところで終わらすことは、ある種の決意、困難でもそれに対峙しようという姿勢を示すことで、観るものに十分訴えてくるものがある。ただ、全体をとおして張り詰めた雰囲気を維持しすぎると感じる。ずっと緊張しながら観続けなくてはならない観客は辛い。ちょっと抜いたところを入れても良かったのでは。
映像的には秀逸。長めの距離から、被写界深度を極力浅く撮るところ、手持ちのカメラで動かしながら撮るところなどが非常に印象に残る。カットのつなぎも秀逸。シナリオのうまさと映像で、重々しく息苦しい作品なのに飽きずに2時間が過ぎる。監督は、杉野を演じた廣末哲万。彼は「天然コケッコー」で、鬱陶しい性格の郵便局員を演じていた。あの映画での出演シーンは多くなかったけど強い印象を残している。この映画でも好演。独特の顔付きと雰囲気を上手く活かしている。
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コメント
この映画は昨年の日本映画で1番才能を感じた作品でした。もう一度観直したかったなー・・
投稿: IMAO | 2008/04/06 22:53
シナリオ、演出、映像とも、すごく光るものがありましたね。難しい題材をエンディングを含めてしっかりまとめていたことは、すごく評価できます。ただ、まったく退屈しなかったにしろ、あまりにも息苦しさを感じる作品だったので見終わった後にくたびれてしまいました。ちょっと抜いたところ(タメ)があると完璧な作品だったのですが。
投稿: ひゅ~ず | 2008/04/08 00:04