« 「10年後のマンホールチルドレン」を見ての深い疑問 | トップページ | 映画:サイドカーに犬/神童 »

2008/03/25

映画:逃亡くそたわけ 21才の夏/赤い文化住宅の初子

映画:逃亡くそたわけ 21才の夏/赤い文化住宅の初子
逃亡くそたわけ 21才の夏 ★★★☆☆
 福岡の精神病院を逃げ出した二人。彼らの逃避行、、、と言っても妄想の世界では追われているが、現実では追われてはいないようだが、、、を描く。
 突破感はないけれど爽快感を残す出来映え。映像的にもそつない。コントラストを強く色味を強くしたざらざらした画面が印象的。感性に迫ってくる話ではあるが、何かもう一つ足りない。あと少しのひねりがほしい。
 ただ、自分の時代の作品という感じがしない。THE ピーズの挿入曲も良い。作風も気持ちよい。前衛っぽい病院のシーンなども含めて、二十歳ぐらいだとしたらはまったかもしれない。京子を演じた美波は好印象。

赤い文化住宅の初子 ★★★★☆
 兄妹の二人で古い文化住宅に暮らす中三の初子。進学をしたいけれどお金がない。高校中退で働く兄は当てにならず、担任も学校も彼女を助けるわけでもない。街で出会った親切な婦人も新興宗教の勧誘だった。次々訪れる不幸を淡々と受け入れていく彼女。
 なかなか引き込まれる。これでもか、これでもかと彼女を打ちのめす出来事が続く。この手のストーリーにありがちな、典型的で安易な救いの手は差し伸べられない。担任は男狂いで生徒指導には興味はなく、期待を抱かせる婦人も裏切る。主人公の初子は、激しい感情表現を出さず、嘆かないし投げやりになることもなく、悲しそうにうつむき受け入れていく。息の詰まるような苦しい話の唯一の希望は、彼女に想いを寄せる同級生三島の存在だけだ。でも、同じ中三の彼に状況を転換させる力はない。時として彼女の無念を理解しない無神経な言葉や態度を示すが、最悪な状況の中でよりマシな選択である彼と自堕落な兄以外に頼るものはない。「大人になったら結婚しよう」というもろくはかない約束、二人の真剣な約束だけに、この映画を観る観客もすがるしかない。なので、この純真で切ない約束が心に染みてくる。良く計算されたシナリオだ。
 映像的には文句の付けようがない。回想シーンの入れ方も適切。演技陣では、初子を演じた東亜優がはまり役。華やかな美人からはほど遠く、地味で内気な感じが完全にはまっている。兄役の塩谷瞬が「パッチギ!」とうって変わってがさつな役柄をうまく演じている。他の演技陣も総じて好演。鈴木慶一が意地悪なラーメン屋の店主を演じていたので驚く。

|

« 「10年後のマンホールチルドレン」を見ての深い疑問 | トップページ | 映画:サイドカーに犬/神童 »

コメント

関西で言う文化住宅って関東だとなんて言うんですか?

投稿: こたに | 2008/03/26 17:22

(古いタイプの)集合住宅かな~。

投稿: ひゅ~ず | 2008/03/26 17:49

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54820/40635476

この記事へのトラックバック一覧です: 映画:逃亡くそたわけ 21才の夏/赤い文化住宅の初子:

« 「10年後のマンホールチルドレン」を見ての深い疑問 | トップページ | 映画:サイドカーに犬/神童 »