映画:バーバー吉野/めがね
今日は目黒シネマに。良く行く映画館では、ここ(と言っても3回目)とフィルムセンター(←映画館とは言えないか?)が一番遠い。
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バーバー吉野 ★★★☆☆
最初は稚拙に感じるところもあったが、映像的には全体としてはそつない。町の封建的な伝統と新しいものを求める子供たちとの軋轢、性的なものへの興味の始まりとかをうまく描いている。ただ、少々頭でっかちと感じるところも多い。町の気違い者の扱いとかも典型的すぎる。いろいろなところで、荒削りなものと光るものが同居している作品。ただ、抜けているところまではいかない。
もたいまさこが良い。微妙な間のとりかた、演技の動作の自然さなど、本当に巧い役者。彼女以外では主人公の男の子と坂本くんを演じた二人が目立っていた。
めがね ★★★☆☆
南の島の宿。都会のキャリアっぽい女性タエコ(小林聡美)が一人でやってくる。最初は宿の周り人々との関わり合いが嫌だったが、だんだんそこに居場所を見いだしていく。
食事は宿の主人ユージ(光石研)、得体の知れないかき氷屋の女性サクラ(もたいまさこ)、さぼってばかりの高校教師ハルナ(市川実日子)と同じテーブルでとらなくてはならないし、毎朝布団の枕元までサクラが起こしにくる。変な体操をやらないかと勧められる。普通の都会人であるタエコは、自分一人の場所と時間を守るため距離を置こうとする。その感覚がだんだん解けていくところの描写は巧妙。
小林聡美は微妙な表情の変化、細かい仕種の演技が抜群。本当に巧い。もたいまさこも魅力的。この人は何を演じてももたいまさこでしかない独自性がある。市川実日子も印象的。やせ細った姿と鼻が上がった独特の顔。細かい演技が印象に残る感じではなかったが、存在感は強い。
映像的にはそつなく、違和感を感じるところがない。登場人物のまわりを、カメラを動かして撮るのが上手い。「かもめ食堂」もこの作品も、食べ物と食べているところが非常に美味しそう。思わず、今晩はエビか塩鮭かベーコンエッグにしたいと思った
「バーバー吉野」、「かもめ食堂」、「めがね」を観て思うのは、すでになくなってしまった場所、または美化され理想化された遠い土地が舞台であることだ。そこは都会の喧騒とせわしさとまったくの別世界、パラレルワールド。そういう土地、そこでなにもせずにボーっと過ごすことには強い憧れがある。この数年行っていないが、ポカラのペワ湖そばのレストランで朝から昼まで、また夕方もボーっと過ごしたことを思い出す。でも、それも1週間程度の休暇だし、地元の人々との付き合いがあったわけでもない。この映画のような生活に対する憧れは私にもあるけれど、そこで暮らしていけるかどうかは自信はない。それは皆同じだろうけれど、都会で忙しい生活に追われている現代人には響く内容だ。ただね、3作連続でこのようなトーンの作品を観ると、ちょっと飽きというかマンネリを感じてしまう。
追記:市川実日子ってなにかで見たことがある、そうだ「イン・ザ・プール」のルポライターだ、と思って調べたら出てたのは姉(市川実和子)だったのね。姉妹で雰囲気としゃべりかたがかなり似ている。
[GPS情報URL]
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