この映画館に来るのは2回目なのだが、地下鉄から地上に上がったら映画館の場所が分からなくなる。散々悩んだ挙句、交番で場所を聞く。なんと駅の真反対だった。地理感覚はそれほど悪くないほうだと思っているだけどね。
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天然コケッコー ★★★★☆
小学校と中学校が一緒になったど田舎の学校。生徒は中学生3人、小学生3人の6人だけ。そこにイケメンでちょっと意地悪な男の子が転校してくる。彼と主人公の女の子の初々しいやりとり、季節の移り変わり、子どもたちの成長を暖かい目で描いている。
いかに都市部に住む人間が多くなっても、まだ、この映画のような世界は日本にも残っている。しかし私はそこから遠くなってしまった。地理的にも、心理的にも、年齢的にも。地域の人々の緊密なつながり、思いやり、そのような「良い」部分をうまく描いている作品だ。ただ、郵便局員が広海に言うデリカシーのない棘のような言葉もたくさんあるはずだ。プライバシーのかけらもない世界、ムラの行事への強制的な参加など、負の部分は少ししか描いていない。でも、全体をとおしてみると、劇的な出来事もなく、淡々と日々の流れと季節の流れ、子どもたちの成長をうまく描き切っていて好感がもてる。
主演の夏帆が魅力的。初々しい純真な田舎の中学生を好感度高く演じている。彼女の演技とシナリオの巧さで、揺れ動く心、美しい大切な時という感じが伝わってくる。また、岡田将生もなかなか良い。映像的にはオーソドックスだけどがっちりしていて、安心して観ることができる。東京への修学旅行のシーンの最後で使われたCG(VFX)も節度をもっており品が良くて評価できる。
※この映画の舞台は、島根県浜田市の田園風景というか過疎地域だ。私が中学時代の大半を過ごしたのも浜田市だった。私は市街地に近いところに住んでいたし、中学校も一学年6クラス、240人ぐらいはいた。この映画の世界そとはだいぶ違うところだった。しかし、方言には聞き覚えがあるし、蛇舞(石見神楽)は毎年神社の境内で見ていたし、主人公たちが見学に行く高校(実際は丸坊主ではないはず)は中学校の隣だったし、ライトブルーのセーラー服には見覚えがあるし(ただし夏服だったと思う)、郷愁と望郷の念をいたく刺激された。そういう意味では評価は甘くなっているはず。あの頃に戻りたいけれど、それは叶わぬこと。
アヒルと鴨のコインロッカー ★★★★☆
前半は非常に退屈。何回も時計を見るし、途中で出ようかと思う。しかし、アパートの隣の住人河崎の正体が分かったところから突然面白くなる。前半に仕掛けられていた布石や謎も、後半で効果的に使われている。そして心に染みてくる。ここまで前半と後半で印象が違う映画も珍しい。ただ、終わり方はどうなのだろう。駅で別れるところまでがメインなストーリーだとしても、その後のわずかのシーンについて疑問を感じてしまう。もうちょっと別なかたちがあったのではないか。ディランの「風に吹かれて」の使い方はうまい。
主要な登場人物は皆好演。特に、瑛太、大塚寧々が強い印象を残す。主人公の濱田岳も、平凡で不細工な大学生をうまく演じているが、前半は今一つ。
※この2作品どちらが大きかったのかははっきりしないけど、観終わって映画館を出たときの満足感はとても高かった。こういう日はそれほど多くない。
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