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2007/09/17

半島を出よ

半島を出よ
読了。上下巻で1000ページという大作。北朝鮮の反乱軍が福岡市を占拠、後手に回る政府の対応、占領軍に挑むアウトサイダーの若者などを描く。
単なるフィクションと片づけることはできない内容。国家経済の破綻、地政学的な変化があれば、これに類することが起きる可能性はある。ただそのリスクは北朝鮮だけでなく、中国やロシアにだってある。
このような近未来の危機を村上龍が描いたことに大きな意味がある。彼はリアルに、時として吐き気を催すまでのリアルさをもって、この事件を描ききる。
ただ文学作品としてみるとどうなのだろう。主要な登場人物が数十人、話も多元的。それぞれの背景を描いてはいるが、やはり散漫になっている印象は拭えない。話の本筋のためのご都合主義的な人の紹介、描写が目立つ。事件を描くのには成功したが、その中の人を描くことは成功しなかった気がする。
そして社会情勢が変われば無価値になる題材だ。歴史的には評価されない、報われない作品になると思う。

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コメント

久しぶりにお邪魔してみたらご入院中との事・・・何はともあれ更新出来ている位の回復ぶりが、不幸中の幸いという所でしょうか?とにかく御大事になさって下さい。
『半島を出よ』は久しぶりに村上龍のパワーを感じた作品でした。出来はともかく、この人の仕事量といったら・・・

投稿: IMAO | 2007/09/17 16:10

IMAOさん、お久しぶりです。なんとか自宅に戻りましたが、映画館通い再開は11月ぐらいからになりそうです。
村上龍は、以前は欠かさず読んでいたのですが、自転車熱に反比例して読書熱(映画熱)が下がったので、久しぶりに読みました。人間の感性、五感に訴えかける力はやはりすごいですね。拷問シーンなどは思わず吐き気を覚えました。

投稿: ひゅ~ず | 2007/09/24 13:25

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