映画:サクリファイス
久しぶりの映画館。ただし山中貞雄2本立てを観に今週末もここに来るかも。
今日はタルコフスキーの遺作。併映の「ノスタルジア」も観たかったけど、16:30上映開始では無理。タルコフスキーなら、そのうちまた観る機会はあると思う。
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★★★★★ (←後日修正)
誕生日を迎えた初老の演劇評論家。身近な親しい人だけのささやかなパーティの直前、核戦争が始まる。その状況からの回復を図るために、友人が示した超現実的な方法とその顛末が描かれる。
耽美的、抽象的に心象風景を描く。葛藤や感情の表れはあれど、激しい感情の爆破、発露はない。核戦争による週末を描いているのに、お決まりのパニックやカタストロフィは描かれない。一つの家族と彼らと関わる4人だけが描かれる。それもタルコフスキー独自の文脈の中で。
楽しい作品ではない。でも「惑星ソラリス」みたいに眠ることもなく、退屈もせず2時間半が過ぎる。言葉にするのは難しいが、人生を終わろうとする者からのプレゼント、回顧、失ってはいけない希望、性的、霊的なものを信じる気持ちが伝わってくる。その表現は慎み深く、観るものに受け入れやすいタッチだ。これが遺作ということとマッチしすぎている内容と描き方。
映像的には完璧。文句のつけようがない完成度。広角で撮る情景の上側ぎりぎりの使い方、最初と火災のワンカットの長さと美しさ、グラスがカラカラとなり爆音が通り過ぎミルク瓶が落ちる、アンダー気味の暗い部屋から明るい生気溢れる部屋への転換など数多くのシーンが印象に残る。演技陣については特筆するところはなかった。
[GPS情報URL]
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