THE BEE/NODA MAP
三軒茶屋シアタートラムにて、野田の小規模演劇。
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この演劇、筒井康隆の短編小説「毟りあい」がベース。
野田の大規模演劇は何回か外れだったので、このところは観に行っていない。ただ、以前観た小規模の「Right Eye」、「赤鬼」は素晴らしい出来だったので、今回苦労してチケットを手に入れる。
素晴らしい演技、演出、舞台美術、そしてとても後味の悪い演劇だった。
「Right Eye」、「赤鬼」は決してハッピーエンドではないが、しんみりとした、快楽に近い心地よい余韻を残す作品だった。この「THE BEE」は違う。最初はアップテンポで小気味よいけど、途中から閉塞した空間で繰り返しの多いけだるい話になっていく。その中で果てしなくエスカレートしていく暴力。引くに引けなくなってしまった迷路。とても苦い後味を残す。これはすべて野田の意図したものだ。「THE BEE」は元もとロンドン公演を主に、英語で書かれた脚本と聞いた。この作品、このエンディングの劇を今のイギリスで上演することが野田の意志、目的なのだと思う。今の世界情勢に対するメッセージ性が強い作品だし、それは一定の成功を収めている。そう言う意味で、好きではないけど十分評価できる演劇だった。
20m四方ぐらいありそうな非常に大きな1枚の紙を、部屋の壁や床、非常線など見たてる。それに切れ目を入れた上で、ドアやテレビの映像を前から投影する。その紙に後ろから状況を説明する影絵のアニメーションを投影したりする。これらの舞台美術は本当に素晴らしい。小物を含めて単純なもので最大の効果を上げている。それだけでもこの劇を観る価値がある。
演技陣は四人とも文句のつけようがない。特に序盤の浅野和之の七変化、中盤以降の近藤良平の犯人、子供の演じ分けに唸る。演出も素晴らしいし、完璧な演劇だった。ただし好きな作品ではないのだと思う。
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