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2007/06/10

映画:浮雲/流れる

映画:浮雲/流れる
成瀬巳喜男2本立て。実は今まで「放浪記」と「乱れる」しか観たことがない。
最近、早稲田松竹に来る機会が多い。スクリーンのサイズ、位置、客席の傾斜など今一つだけどプログラムは秀逸。

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浮雲 ★★★★☆
 緻密で完成された映像、高峰秀子、森雅之の完璧な演技、そして行き止まりのうっとうしさを感じる原作・シナリオが組み合わさった作品。古典的な印象が強いストーリー。完成度の高い作品であるが、好きな作品かと言われると良く分からない。とても印象に、というより心の隅にしつこく残るところのある作品。高峰秀子の気品、森雅之の彼の地と勘違いするほどのはまった演技、この二人はすごい。

流れる ★★★★☆
 主要な登場人物を演ずる女優たちを上手く使っている。山田五十鈴、高峰秀子、田中絹代、杉村春子、岡田茉莉子。それぞれ個性のある実力派の魅力を上手く引き出している。
 溝口の「祇園の姉妹」、「祇園囃子」あたりと似た芸者の置屋を題材にしているし、話の大筋も溝口が選びそうなもの。しかし全体の作風には決定的な違いがある。カットがテンポ良く切り替わっていくし、意図的に強い余韻を残そうとするシーンが少ない。


※今まで観た成瀬の4本に共通するのは、英雄的なものが少ない地味な市井の人を扱ったものが多いこと。また、素直でストレートな解決が用意されておらず、ある種の余韻と戸惑いを残したかたちで終わりを迎えること。これは林芙美子の原作の影響もあるかも。
 いずれの作品も文句のつけようがないけど、心酔するまでにはいかない。映像、演出、演技は完璧なのだけど、題材、シナリオ、ストーリーに、私には素直に受け入れられない引っかかるものがあるような気がする。でも、この見方もまた変わるかも知れない。

[GPS情報URL]
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コメント

これまた凄い組み合わせですな。成瀬好きの僕としてはひさしぶりにスクリーンで観たい様な・・・

投稿: IMAO | 2007/06/10 14:29

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