
この映画館は初めて。上映開始5分前に行くとほぼ満員。係員は席があることを確認しながら一人一人劇場に入れてくれる。私は最後から3人目ぐらい。立ち見になると言われて入ったけど、通路の一番後ろに出した補助椅子に座らせてもらえる。スクリーンは遠いけど、画面はしっかり見える。親切な対応に感謝。
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フラガール ★★★★★
泣かせるポイント、感動させるポイントを計算しつくし、それが最大限効果を出す映画。思わずはまって涙ぐむ箇所がいくつか。ただ、あまりにもベタでちょっとと思うところもある。また、踊りシーンのスローモーションの多用はちょっといただけない。俳優の踊りの未熟さをごまかすために仕方ないところもあるとは思うけど。そうは言っても、娯楽作品としては一級の出来。粗いところもあるけど、それを超えた力がある。シナリオの勝利。
松雪泰子は良い役をもらっていてそれをうまく体当たりで演じている。彼女が教え子の生徒の親を殴りに男風呂に飛び込むところなどなど、あの役を生かすシナリオ。ただ演技としては標準以上だが、蒼井優の素晴らしさには敵いようがない。決して正統派美人とは思えないのだが、泣かせたり感動させたりするシーンで観るものを感動させる表情が出来る。これは「虹の女神」のときも同様だった気がする。
映画の最後に出る字幕。フラダンスの先生の後についてのごく簡単な説明が上手い。観る者が必ず持つ疑問への回答だし、その説明も長すぎず適切な量。観客はこれが実話ベースの話であることを再認識し、さらに満足して家に帰ることができる。「アメリカングラフティ」、「フロントページ」に並ぶ巧妙さ。
※最初の字幕でこれが昭和40年の話であることがわかる。それも実話が元になっている話だ。
日立市に住んでいた伯父の招待でハワイアンセンターに行ったのは昭和43年ごろだったと思う。大きな体育館ぐらいの大きさの天井の高い巨大な温室に、椰子が生い茂り温水プールとステージがあったのかな。小学校3年の子供はフランダンスのショーには興味がなく、ショーはほんの少ししか覚えていない。それよりも長い滑り台のある温水プールのほうに熱中した。とにかく海外旅行は夢の夢の時代。その中でも常夏のハワイは天国というイメージが固まっていた時代だった。本物のハワイには行けない普通の人が身近にハワイを味わえるというコンセプトのリゾート施設だった。あの常磐ハワイアンセンターができる背景、フラダンサーたちにこのような逸話があったとは。まあ、どのような施設にも裏話や逸話はある。とにかくこの映画、題材の選び方が秀逸。意外性、知名度の高さ。題材選びでもう半分は成功が約束されている感じさえする。
かもめ食堂 ★★★★☆
一見何も起こらない日常の話。中年の女性が一人で始めた小さな食堂。最初は閑古鳥が鳴いていたが、手伝う仲間が増え、店も徐々に繁盛していく。ただし店はフィンランドのヘルシンキの裏路地にあり、店を切り盛りするのは三人の日本女性。彼女たちの細かな背景や動機は語られないし、劇的な展開もない。三人の恋や愛のエピソードもまったくない。映画の進み、話の進みが若干遅いと感じるところもあったが、退屈せず、この映画の魅力に絡め取られてしまう。
しつこく自分の追い求めることを続けていく小林聡美。「好きなことが出来ていいわね」と問われて、「好きじゃないことはやらないようにしている」と答える(正確にはこういう表現ではなかった)。その微妙で大きな違い。とにかく小林聡美の演技力に感動。機転が利くちょっとした仕草が自然に見えて、観る者の心に染み込んでくる。もたいまさこ、片桐はいりも普通に巧いけど、それ以上ではない。
そう、もたいまさこ、小林聡美というと「やっぱり猫が好き」を思い出す。あれも三人の即興っぽいドラマだった。三人目は室井滋だった。もたい、小林のキャラクターは猫が好きとはだいぶ違ったけど懐かしかったな。
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