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2007/03/14

映画:初恋/好きだ、

初恋/好きだ、
新文芸坐の「気になる日本映画達2006」に行く。これまた観たいものが多いけど、何回来られることか。

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初恋  ★★★☆☆
 1960年代後半、女子高生がふとしたきっかけからアウトサイダーの集まる新宿のジャズ喫茶に踏み込む。そして3億円事件へ関わる。
 60年代末、激しい変化の時代の若者の焦燥感をうまく描いている。事件以降の終盤の展開も緊張感が持続する。少々ご都合主義的だけど余韻の残る良いエンディングも良い。これを、単なる青春もの、恋愛ものにしないところに意外さと巧妙さを感じる。これは原作の小説があるので元もとこういう話なのか。
 ただ全体として観ると、楽しめたけれどどきどきしないのだ。「MIDORI」や「日本製少年」には観るものをはらはらどきどきさせる力があった。これはきれいにまとまっているけど、自分が外に居続けて鑑賞することのできる作品だった
 宮崎あおいは好感度の高い演技。小出恵介も水準以上。ジャズ喫茶での登場人物の紹介方法がうまくなく、誰が誰だか区別がつきにくいことが脇役には損な感じ。それと、黒沼弘己、近童弐吉という新宿梁山泊の俳優がクレジットに載っていたが、どこに出ていたか分からなかった。


好きだ、  ★★★☆☆
 上映開始直後、トラブルでフィルムが焼き切れる。画面が茶色く泡立ち黒くなるのを初めて見た。復旧まで10分ほどかかる。
 高校時代お互いを意識していた二人。17年後に偶然再会を果たす。その二人姿がゆっくり淡々と描かれる。
 根幹を成すストーリー自体は非常に単純な話だ。過去を美化したようなところも多いし、高校時代の話を彼と彼女とその姉だけに絞りすぎの気もする。1シーンが長く一見単調な映像。これだけ揃っているのに飽きることがない。似てはいるけど微妙に異なるシーンを巧妙にしつこく積み重ねているからだと思う。シナリオと相まって観るものの想像力、解釈しようとする力を維持させる。
 17年後の再会という展開は、懐古調になったりご都合主義になったりしやすいが、そういう印象はない。いろいろと興味深いし、心地よい余韻は残してくれる。好きな色の作品だし普遍性もあるのだけれど、なにか物足りない感じが残る。
 前半は少しアンダー気味で彩度が低くバストアップを多用でユウ中心の視点、17年後はセピア、アンバー気味でクローズアップ多用でヨースケ中心の視点。前半は雲や空、風景の挟み方などがホウ・シャオシエンを彷彿させる。抑え目の演技を要求されたのだろうが、演技陣はそれに応えて皆好演。

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