ウッディ・アレンの代表作2本立て。70年代後期の作品。もう30年も前になるんだ。
---------------------
マンハッタン ★★★☆☆
モノクロ映画で驚く。コントラストが強く少しざらついた感じの画面。
ウッディ・アレンいう特異な主演俳優がいなければ成立しない映画。一から十まで完全に彼の映画。
テレビの構成作家の四十男。彼女は女優志望の17歳の高校生。その彼女を捨て親友の元愛人と付き合う。彼の心の動きが丹念に描かれる。
都会センスがあふれる話だけれど根幹はオーソドックスな男女もの。男のわがままな発想、感性が正直に描かれている。
テンポが良く音楽の使い方が秀逸。なんとなく全体の雰囲気が「甘い生活」を思わせる。
二人が歩く姿を1mほどまえからずっと撮り続けるところ、ラスト近くで街を走る姿を横から撮るところなど動かしたり止めたりと縦横無尽。最後の影のあるウッディ・アレンのアップなども印象的。
アニー・ホール ★★★★☆
コメディアンと歌手の卵の彼女。二人の出会いと別れがウッディ・アレンのセンスで描かれる。
マンハッタンの2年前の作品。カラー。ウッディ・アレンの自伝的な雰囲気が感じられる。この映画も主演、脚本、監督すべてをウッディ・アレンがやっている。ただ、主演は彼でなくてもやれる内容。
時系列をところどころずらしているけれど、時間の前後関係は分かりやすい。心の中で考えていることを字幕やセリフで出したり、画面を2つに切ったりとちょっと実験映画っぽい。
エンディング近くアルビーが初めて書いた戯曲で、アニーとの別れの場面をなぞっているところがハッピーエンドにしていること、その後の彼女との再会をモノローグで紹介するところが上手い。破綻しそうな展開をきっちりと余韻の残るかたちでまとめ上げている。
「アニー・ホール」、「マンハッタン」共にセリフ、演技、映像などの情報量が多い。観る者が想像力を働かせる余地が少ない。多くのセリフ他の情報がマシンガンのように観る者に打ち込まれる。そういう意味では、ニューヨークという、目まぐるしく変わり続けるスピードの速い街にマッチした内容。
この2本とも1970年代後半の作品だが、セックスや男女間の本音を嫌味にならないように率直に表現している。その時代には大きなインパクトがあったと思う。今観るとそのあたりは普通に感じられるが、それでも古さ、陳腐さはない。そういう点でもすごい。
2作とも良いけれど、「マンハッタン」のちょっと息苦しいまでの緻密さ、完璧さより、少し抜いた感じでペーソスのにじむ「アニー・ホール」のほうが好き。
[GPS情報URL]
http://walk.eznavi.jp/map/?datum=0&unit=0&lat=%2b35.42.41.67&lon=%2b139.42.29.67&fm=0
最近のコメント