映画:冷血の罠/日本製少年
ちょっと目の調子が悪いのだが、今日もシネマヴェーラ渋谷に。
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冷血の罠 ★★★☆☆
渋谷桜丘町で次々と起こる事件。三年前に妹を自殺で失った私立探偵と、死んだ妹の元夫。犯罪に関わる彼らを描く。
犯罪の裏側にある都会の無関心、街と心の荒廃を丹念に描く。ただし、もう少し犯行の動機を明確にしたり、起承転結をはっきりさせたりしたほうが良かったのではないだろうか。作品の持つ鬱陶しさもあり、好きな作品ではない。俳優陣では哀川翔が好演。無口で心に傷を探偵役がとてもうまく演じている。映像的には街の路地、吹きだまり、人物などを器用に捉えている。
日本製少年 ★★★★☆
家庭内暴力で父親を傷つけた過去を持つ少年と、アングラビジネスを営む会社で働くペースメーカーを入れた彼女を描く。
なにか頭でっかち的な無意味な長いシーンが多い。失敗作かと途中まで思っていたがそうでもないのだ。ところどころに光るシーンがある。特にラスト少し前の海岸のシーンは良い。砂浜越しの遠い風景は黄色く霞んでいて、中近東の砂漠のようだ。そこで彼女と交わされる会話も心地よい。彼がその前のトラブルで刺されていて腹から出血していることがその場に緊張感を与えている。そしてペースメーカーを付けていて「どきどきしない」と言い続けていた彼女の発言がその後の布石になっている。ただ、彼女の置き去り方だけは理解できない。いかに綺麗に撮っていてもゴミ箱はゴミ箱である。
いろいろなところに違和感はあるのだが、なぜか心に残る一作。演技陣では主人公の大沢樹生、彼女役の嶋田加織が共に良い。
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コメント
コメント&TB失礼します。
先日、僕もシネマヴェーラにて「日本製少年」を見てきました。
途中までは移入できないなぁとヤキモキしていたのですが、
様々な布石がラストにブワーッと繋がり、
劇場を出る頃にはえもいわれぬ充足感がありました。
嶋田加織良かったですね。
もうスクリーンに登場することはないらしく、
それが残念であります。
すみません。TBはできなかった模様です。
コメントのみ失礼させてていただきます。
投稿: 現象 | 2007/03/06 00:11