映画:瀧の白糸
1933年作の無声映画。水芸の見世物小屋の看板娘と彼女が一途に惚れて援助する法学生との純愛物語。泉鏡花小説の映画化。
当時人気絶頂だった入江たか子主演。制作も入江の個人プロダクション。そのためか彼女がとにかく引き立つ映画。そう撮ることを要求された映画だったのか。確かに人気絶頂だったことも分かる。しぐさ、表情、とても魅力的だ。ぱっと動いてぱっと止まる動作も目を引く。でも、この頃の遺恨によって、後年「楊貴妃」で溝口が入江たか子にダメ出しの連続をして降番、引退につながったという話も聞いた。入江たか子の人生は波乱万丈。
映画はオーソドックスな作りで悪くない。テンポも良いし、演技も水準以上。退屈せずに観ることができたし、心に残る余韻もある。どことは指摘できないが溝口らしさもにじみ出ていた。でも大好きな映画まではいかない。映像的には、長回しがない、カメラを傾けて人を撮る(体が対角線)、和室での動きを上から俯瞰するところなどが特徴的。
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コメント
入江たか子は声がよくなかったため、有声時代になって人気が落ち、そこを逆手にとって化け猫映画に出た、なんて話をなんかのテレビ番組でやってましたが、wikipediaには載ってませんね。
投稿: 泥山田 | 2006/11/18 21:51
入江たか子がしゃべっているのは「ある映画監督の生涯」しか覚えていないです。声色は良かったどうかが思い出せません。
検索してみると「華族特有の口振りが仇になり」というふうに書かれているところもあるようですね。そう考えると、「椿三十郎」でおっとりした家老夫人役に使ったのも分かるような気もします。
投稿: ひゅ~ず | 2006/11/19 13:34