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2006/10/21

映画:好色一代男/妻は告白する

映画:好色一代男/妻は告白する

今日は新文芸座で増村保造の「好色一代男」と「妻は告白する」の2本 。
文芸座に来るのは10年ぶり、いや最後に来たのは結婚前だった気がするのでもっと経っているかもしれない。どう考えても得なので、ここも会員になる。

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好色一代男
 どの程度原作に忠実な映画化なのだろう。突破感のある「おとぎ話」だった。「山椒大夫」と違ってここまでくると、主人公が無責任だとか、荒唐無稽だとかいう感じはない。
 映像、演出はそつなく小ぎれいまとめている感じ。耽美的な感じはないが、うまく撮りうまくカットを切り替えている。そして、ストーリー自体の持つパワーに忠実に仕上げている。
 主演の市川雷蔵が魅力的。あと、父親役の中村鴈治郎が良い。彼は「浮草」、「小早川家の秋」でも好演だった。良い役者だ。確か中村玉緒の父親ではなかったかな? その、中村玉緒の腕が毛深いのに驚く。今だったら剃るだろうに。

妻は告白する
 うーむ。すごい作品です。御木さん、紹介してくれてありがとう。
 登山中、ザイル切って夫を死に追いやり、好意を持つ若い男と二人生き残った妻彩子。彼女の裁判と、若い男との愛を巡る話。
 若尾文子に脱帽。こんなにすごい女優だったんだ。彼女一人だけが目立ち、彼女の演技が作品の完成度を上げている。感情の変化、躊躇、相手にすがる姿、どれも見事。でも魅力的で素晴らしい演技であっても、この映画の彼女にスクリーン越しに"恋する"という感じにはならない。それは、演じた役柄によるのだろう。
 若尾文子の演技と共に、それを完全に引き出す演出。捉え切るカメラ。どれもすごい。シナリオ、演出、演技、カメラが高いレベルで絡み合い、完成度が高い見事な作品に仕上がっている。徹底的にカメラに映る結婚指輪など、小物の使い方もうまい。

★この2作品に共通するのは、役者の持つ魅力を徹底的に引き出すのがうまいことだ。それが演技力によるものでも、本来役者がもつ色気でも、その役者に応じてうまく描き切っている。これは役者側からすると大感謝のはず。

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コメント

妻は告白する>喜んでいただけて良かったです。愛することに命をかける男と女、すごい二本立てですよね。もしこの2人が時代を飛び越えて出会っていたら、彩子は救われたのだろうか、なんて馬鹿なことを考えてしまいました。
若尾文子の雨に濡れた姿で現れる瞬間、僕は3回映画館で見ましたが何度見ても、凄絶な美しさに涙してしまいます。

投稿: 御木 | 2006/10/22 23:06

溝口は女性、それも虐げられた女性を描くときに本領を発揮したけど、増村保造はどちらでもいけるんですね。
あの雨に濡れてたたずむ姿は強烈でした。すがるような期待するような表情。乱れた髪にしたたるしずく。足の先まで濡れ鼠の姿を上から下までカメラが動いていくのなんて普通は陳腐に感じそうですが、まったく逆で、胸を打つものでした。いやいや、若尾文子の力とそれを引き出す力はすごかったです。
そう、日記を見ると御木さんも土曜日に行かれてたんですね。居るかなと劇場内を見回しましたが、見た回が違ったのでしょうね。

投稿: ひゅ~ず | 2006/10/23 12:32

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