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2006/10/23

PiL 日本'83

オークションでPiL日本'83のLDを入手。
オリジナルパンクが衰退しニューウェーブ台頭の時期、PiLとトーキング・ヘッズが、ニューウェーブ系でもっとも評価されていた。1980年ごろから2、3年かな。
セックスピストルズのボーカルだったジョニー・ロットンがピストルズ脱退後、本名のジョン・ライドンに名前を戻し始めたPiL(パブリック・イメージ・リミテッド)は、ロック的なものを否定することを前面に出して人気を集めていた。メタルボックス、フラワーズ・オブ・ロマンスあたりのダブを多用し、民俗音楽の影響のある音は好きだった。
たしか、フラワーズ・オブ・ロマンス発表後の2年ぐらいあとにこの来日コンサートがあったはずだ。当時PiLは、『ロック否定、ロックコンサートの盛り上がり否定』が強く、コンサートツアーなど一切やらないと言っていたと思う。そのPiLが来日する。ピストルズだったジョン・ライドンが生で見られるということで、周りの友人たちはかなり盛り上がった。
コンサートは、「うーん」と首をかしげるような出来だった。ドラムこそ元PiLだったマーティン・アトキンスだが、他のメンバーはスタジオミュージシャン(という話)でタキシードと蝶ネクタイ。友人に言わせると、「上手なPiLのコピーバンド」。うまいことを言ったものだ。このLDでは収録されていないけど、最後の曲はAnarchy in the U.K. だった。これには私も友人も呆れた。インタビューなどであれほど否定してきたピストルズの曲をやるなんて。よほどお金に困っていたのだろうか。
今聴くと、PiLには古臭さと演奏力の貧弱さ感じる。同時期のトーキング・ヘッズのストップ・メイキング・センスは今でも圧倒的だ。しかしこのLDのPiLの演奏はほめられたものではない。昔好きだったアルバムも今では古臭さが鼻につく。トーキング・ヘッズの普遍性とは大きく異なる。まあいいのだ。懐古趣味で入手したのだから。でも、街を歩く無駄な映像とか収録するなら、もっと曲を入れてほしかった。そして当日あったトラブルも…。

1983年7月1日、中野サンプラザでのこのコンサートは見に行った。友人から譲ってもらったチケットは、徹夜して並んでとったもので、1階1列目22番。1列目の前に臨時の0列目が2列ほどあったが、ステージに向かって右側、前から3列目という超々特等席。本当に間近でジョン・ライドンを見た。せむしっぽい姿勢と動き、歌にはインパクトはあった。でもやはりロックバンドらしい演奏には違和感があった。だって彼らはそれを否定していたんだもの。でも私は何を期待していたのだろう。
コンサートが後半に入って、ジョン・ライドンがステージ下に降りて握手しながら客にマイクで歌わせていた時、私の前の列のバリバリのハードコア系パンクス二人が、彼に向けて何度もつばを吐きかけた。顔に当たって彼は一瞬たじろぎ、むっとしたがそのまま歌い続けた。その曲が終わった直後、ジョン・ライドンは再び私の前のパンクスのところに来て胸倉を掴んで小競り合いになった。もしかしたら殴ったかもしれない。すぐに警備員がわらわらと飛んできて、パンクス二人を会場外に連行しようとする。当然二人は歯向かう。ライドンとパンクスの小競り合いが、警備員が何人も集まる中競り合いになった。彼らが警備員に引っ立てられるのはライドンの望むところではなかったのだと思う。警備員たちを制止し、声をかけてパンクスたちと握手し、その場を収めた。あのまま警備員に連れ去られてもパンクスたちの自業自得。でも後味の悪さは残ったろう。20代前半の私にとっては好感の持てる出来事だった。
この日のコンサートは、ウォークマンプロで隠れて録音した。おそらくこのやり取りも残っているはずだ。テープケースにはその日のチケットの半券もはさまっている。これももう23年も前のできごと。久しぶりに聴いてみようか。

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コメント

これはすごい。まさにお宝ですね-。
話変わりますがあの幻の中華街ライブがDVDで出ますよ。
http://www.bounce.com/news/daily.php/8837

投稿: ねりうめだ | 2006/10/24 19:26

うーん、ずっと持ってて何回も聴いた本人からすると「お宝」というものなのかわかりません。他にもフリクションとかペンギンカフェとかあるけど、下手をすると大掃除の中で間違えて捨てられそうな品々です。
で、逆に持っていない聴いたことない私からすると、細野の未発表ライブは涎たらたらたらでございます。あああ、はよ出ないかしら。

投稿: ひゅ~ず | 2006/10/25 00:48

はじめまして!

現在20代前半の私からすると、PIL初体験はむしろ「なんじゃこりゃ?」の世界でした。
演奏の下手さや古臭さも、斬新なものに聴こえ、それ以来どっぷりはまっております。

でも確かに現代の若者にはトーキング・ヘッズの方がわかりやすいかも知れませんね。
トーキングヘッズのサウンドは現代とも繋がりを持っていますが、「フラワーズ・オブ・ロマンス」などは本当にあの時代唯一のものですからねぇ~。

TR貼らせていただきます。


投稿: 桜ぷりんギター | 2008/02/22 23:52

パンクはピストルズが創始者とは言えないですが代表者ではありました。そしてジョン・ライドンは発言と存在のインパクトは絶大でしたからね~。確かにあの時代の唯一無二の存在でした。決して今聴いても嫌いなわけではないのですが、昔は無茶苦茶格好良い音と思っていたものが、今は古くても好きな音という感じに落ち着いています。不思議にトーキング・ヘッズは陳腐化しないのです。
ブログ、拝見しました。サイケなTシャツがおしゃれです。羨ましいです。でもバンド物のTシャツでさえも年1、2回しか着る機会のない四十代末のオヤジなのでとても手が出ません。

投稿: ひゅ~ず | 2008/02/24 00:17

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